設計通りなのに、装置が動かない。
なんで、こんなことになったのか…

『徒然草 第五十二段 仁和寺にある法師』より

FA装置の『少しのこと』 / 心にうつりゆくよしなし事 / プロフィール / X

制御盤の中の、地獄を見る


~図面にない配線を、見つけるまで

【24V】

テスターに表示された電圧だ。

…意味がわからない。
電気図を見るかぎり、この回路に24Vかかるハズがない。
今回の改造で、やらかしてしまったか?

落ち着こう。理由を突き止めないと。

薄暗い盤内。ライトで照らし、電気図に書かれた配線の番号と、
配線にあるマークチューブの印字を見比べる。

「この番号は、コイツか…ちゃんと、あるな」

何回かその作業を繰り返し、
当たりをつけた配線を、収納してあるカッチングダクトからたぐる。
この配線は、どこにつながっている?

「これ…か?」

配線を少しバタつかせ、少し離れたところでわずかに動く配線を引っぱり出す。
Y端子が、2個、いや、3個。重ねてネジ止めされてある。

「重ね過ぎだろ…」

もう、地獄配線だ。
奥のY端子は、根元から直角に曲げられ、チューブの印字が見えない。
指先をねじ込み、その端子を引っ張り出してチューブの反対側を見る。

【24P-2】

「これか……」
電気図に記載のない配線。
やらかしたかと焦っていたのがたぶん違う。思わずため息が出た。

念のためだ。記載のない配線を取り外して電源を入れ直し、
不可解な24Vがかからないことを確認する。
コイツが原因で間違いない。

盤の中には、図面にない理由が残っていた。