設計通りなのに、装置が動かない。
なんで、こんなことになったのか…

『徒然草 第五十二段 仁和寺にある法師』より

FA装置の『少しのこと』 / 心にうつりゆくよしなし事 / プロフィール / X

想定外だったタップ操作


~装置が動かなかった理由

黙った装置は、私が見落としたバグを教えてくれた

「動かないんですよ」

現場に呼ばれた。異常は出ていない。非常停止でもない。

現場現場で装置が止まっている以上、あまり時間はかけられない。

まず、作業者に話を聞く。
「普段どおり操作してたんだけど」
機械を見る。何か引っかかりはないか。
後で調べるため、「動かない状態」のPLCプログラムをモニタし保存する。

安全を確認して復旧操作し、装置が動き出す。
現場が再開するのを見届け、先ほど保存したプログラムを確認する。

なぜ動かなかったのか?

動作開始の命令は、出ている。だが、『次の動作』の指定がおかしい。


しばらくプログラムを確認し、原因を見つけた。ボタン操作だ。

「普段通り操作」と言っても、グッと長く押したり、ポンっと短くタップしたりする。

「短いタップ」を想定していなかった。
ボタンを押している間、動作番号を設定する構造だったため、短く押すだけでは設定前に指が離れ、別の動作番号に書き換わっていた。
その時間、コンマ数秒。

しかも、その『別の動作』は実行済。完了フラグが立っている。
なので、開始信号が来ても動かない。意図しない停止の原因だ。

「原因は、タップ操作を想定していなかったバグです」
発生条件をリーダーに説明し、プログラムを修正する。

いじわるテストもしていたが、それでもタップ操作までは想定しきれなかった。

黙った装置は、私が見逃したバグを教えてくれた。