「動かないんですよ」
現場に呼ばれた。異常は出ていない。非常停止でもない。
現場現場で装置が止まっている以上、あまり時間はかけられない。
まず、作業者に話を聞く。
「普段どおり操作してたんだけど」
機械を見る。何か引っかかりはないか。
後で調べるため、「動かない状態」のPLCプログラムをモニタし保存する。
安全を確認して復旧操作し、装置が動き出す。
現場が再開するのを見届け、先ほど保存したプログラムを確認する。
なぜ動かなかったのか?
動作開始の命令は、出ている。だが、『次の動作』の指定がおかしい。
しばらくプログラムを確認し、原因を見つけた。ボタン操作だ。
「普段通り操作」と言っても、グッと長く押したり、ポンっと短くタップしたりする。
「短いタップ」を想定していなかった。
ボタンを押している間、動作番号を設定する構造だったため、短く押すだけでは設定前に指が離れ、別の動作番号に書き換わっていた。
その時間、コンマ数秒。

しかも、その『別の動作』は実行済。完了フラグが立っている。
なので、開始信号が来ても動かない。意図しない停止の原因だ。
「原因は、タップ操作を想定していなかったバグです」
発生条件をリーダーに説明し、プログラムを修正する。
いじわるテストもしていたが、それでもタップ操作までは想定しきれなかった。
黙った装置は、私が見逃したバグを教えてくれた。
